2008年08月24日

「SISTERS」

言葉の応酬と演技の掛け合いが起こす緊張感に頭の中が混沌としながら張り詰めたものがずっと続く作品。内容自体は安直なカタルシスで見張るものなし。

役者陣の圧倒的パワー。演出の効果なのか、はたまた単純なる役者の個々の演技力か、後者に関しては確信できます。どの役者をとっても誰かとの二人きりのシーンでは、まさに対決。舞台役者はかくあるべきと言わんばかりに恐ろしいほどの緊迫感が二人の役設定上の距離を犯し合うかのようにぶつかり合います。ぴりぴりビリビリ伝わってきます。

内容は安直。それぞれの役に恐ろしい業を背負わせている割に、最初から最後まで不穏な空気で走りきる割には、ラストの救いが親子・夫婦ともに安直でした。

演出も本水を使ったもので趣向を凝らしていましたが、色彩的インパクトはいまいち。赤と青のコントラスト、もっと過剰でも面白かったように思います。

■公演概要
パルコ・プロデュース「SISTERS」
作・演出/長塚圭史
出演/松たか子 鈴木杏 田中哲司 中村まこと 梅沢昌代 吉田鋼太郎
会場/シアター・ドラマシティ
日時/2008年8月24日(日)13:00開演
料金/S席 8,400円
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2008年08月23日

舞台「フラガール」

単純平和。素材が映画脚本としっかりしていることもあって、真ん中を走るものがストレートかつシンプルなので伝わりやすい作品。全体としてはダイジェスト版のようでショウのようで。

内容はいたってシンプルです。フラダンスを通じて、一つの町の住民の転換とそこにやってきた東京人の脱皮という成長です。根底にあるのは家族愛と師弟愛と友情というとてもわかりやすいものです。

とはいえ、シンプルであるが故にストレートに伝わってきて、過剰な演出もなく役者が丁寧に演じているのでかなり感動できます。惜しむらくは尺の都合上かダイジェスト版のようで、余韻を味わう時間が短く、感動している間に次が始まってしまう、あと一歩の消化不良感はあります。

最後は長時間にわたるフラダンスショー。これがやりたかったのかというくらい、お芝居が一時的に吹っ飛ぶくらいたたみかけてきます。大人数で繰り広げられるスピード感溢れるショーは圧巻。さらにスローなダンスではフラダンスの持つ表現力と美しさに新鮮な発見がありました。

■公演概要
舞台「フラガール」
脚本/羽原大介
演出/山田和也
出演/福田沙紀 片瀬那奈 田山涼成 阿部力 久世星佳
会場/梅田芸術劇場メインホール
日時/2008年8月23日(土)13:00開演
料金/S席 9,000円
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2008年08月22日

新感線☆RX「五右衛門ロック」

最前列ど真ん中。卑怯な言い方かもしれないし安直かもしれないが、新感線らしい新感線。深さはないけど気持ちが良すぎるほどスカッとする作品。

ゲスト陣が見事なまでに新感線カラーにフィット。どのゲストも驚くほどにはまっていました。長年この劇団にいるのではないかというくらいに馴染んでいて、全体としてきれいに一つの色にまとまっていました。宛て書きかと思うくらいに個性もはっきりしていて清清しい。北大路欣也さんの貫禄と哀愁、松雪泰子さんの美しさ、森山未来さんの少年性、川平慈英さんの底抜けの明るさ、浜田マリさんの歌唱力と明暗の切り替え・・・。そして私には江口洋介さんの茶目っ気がたまりませんでした。

内容としては深さはないものの、メリハリのある役の個性と殺陣のド派手さにハラハラドキドキしっぱなしです。キャラクター構成やらいろいろ考えていたら「ルパン三世じゃん!」で片付けてしまいそうなところですが、それが舞台でできちゃうのが新感線の新感線たるか。

最前列のおかげで小声の突っ込みもたくさん聞けて味わえつつ、役者古田新太さんのド迫力も味わいつつ、じゅんさん、聖子さんなど劇団員も含めて全員はまりはまりのお祭りでした。

■公演概要
新感線☆RX「五右衛門ロック」
作/中島かずき
演出/いのうえひでのり
出演/古田新太 松雪泰子 森山未来 江口洋介 川平慈英 浜田マリ 橋本じゅん 高田聖子 粟根まこと 北大路欣也 
会場/大阪厚生年金会館大ホール
日時/2008年8月22日(金)18:30開演
料金/12,500円
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2008年08月16日

アネット・メサジェ「聖と俗の使者たち」

フランス人女性アーティストの展示。繊維の質感をうまく使ったオブジェが中心。

食後に見たのですが、少し気分が悪くなりました。全編を通じて「内臓(はらわた)」を想像してしまうものが多数。体の中を抉られているような、溢れ来る血の中を歩いているような、食後にはそぐわない空気にくらくらしました。あまりの痛烈な繰り返しに、館内の臭いさえも埃っぽく、生臭いような感覚さえ覚えました。これは「性差」なのでしょうか。

同時展示されていた荒木珠奈さんの作品はかなり好みでした。特に蝋で作られた作品は、蝋はもちろん固まっているのですが全体的に流動的に動いているような、静の中にうごめく大いなる動を感じて、見ていて楽しくなりました。

■公演概要
アネット・メサジェ「聖と俗の使者たち」
主催/森美術館、ポンピドゥーセンター・パリ国立近代美術館、朝日新聞社
後援/フランス大使館
助成/CULTURESFRANCE
協賛/株式会社大林組
協力/日本航空、ニコラ・フィアット、ボンベイ・サファイア
会場/森美術館
日時/2008年8月9日(土)〜2008年11月3日(月・祝)
料金/1,500円
同時展示:MAMプロジェクト008荒木珠奈
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2008年08月15日

八月納涼大歌舞伎

野田歌舞伎を目当てに観劇。結果は大いに違うものに。それにしても最近の蜷川さんと野田さんは数をやりすぎで薄くなっていると思います。観劇後は偶然居合わせたお姉様二人とお芝居談義が楽しめてその偶然に心から感謝。

『紅葉狩』
至高のメニュー。全ては中村勘太郎その人の力。最初は恥じらいで何もできないのではないかという女形から、踊りではきらびやかさと美しさを華々しく咲かせ、後半は心打たれるようにじわじわと何かが迫ってくる迫力。踊りの美しさに鬼の恐ろしさ。成長、コントラスト、全てが凝縮されていて、久々にお芝居を観て背中に大汗をかきました。

『野田版愛陀姫』
短い、物足りない、うすっぺらい。歌舞伎座で歌舞伎役者を使っただけで野田地図を見ているよう。そこまでは良いのですが、歌舞伎座という大きな箱が邪魔をして、たくさんの趣向凝らした遊び心が非常にちゃちく不要なものに見えてしまいました。内容も日本に置き換えた妙技は感服ですが、深みなく単純。濃姫を勘三郎さんがやらなくても、濃姫・愛陀姫・木村駄目助左衛門を若手がやって、勘三郎さんや三津五郎さんはその周りで遊びまくれば、美しくかつ楽しいお芝居になったように思います。

■公演概要
八月納涼大歌舞伎 第三部『紅葉狩』『野田版愛陀姫』
一、新歌舞伎十八番の内 紅葉狩(もみじがり)
     更科姫実は戸隠山の鬼女  勘太郎
              山神  巳之助
           従者右源太  高麗蔵
           同 左源太  亀 蔵
            侍女野菊  鶴 松
            腰元岩橋  市 蔵
             局田毎  家 橘
         余吾将軍平維茂  橋之助
二、野田版 愛陀姫(あいだひめ)
              濃姫  勘三郎
             愛陀姫  七之助
        木村駄目助左衛門  橋之助
          鈴木主水之助  勘太郎
              高橋  松 也
           多々木斬蔵  亀 蔵
            斎藤道三  彌十郎
           祈祷師荏原  扇 雀
           同  細毛  福 助
            織田信秀  三津五郎
会場/歌舞伎座
日時/2008年8月15日(金)18:15開演
料金/一等席 12,000円
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2008年08月03日

ROCK IN JAPAN FES.2008 3日目

最初から最後まで優等生だったフェス。木陰も十分で暑さもさほど厳しくなく、広々とした会場は水分補給や休憩にも苦労なく、ゴミも少なく、目立ったけが人も少なく、それぞれがそれぞれを大切にできた三日間。もちっと暴れたかったくらい。

DragonAsh
既見。トップからトップギア。パワフルなアーティストのノリとフェスの最終日を楽しもうという観客のノリが融合。一発目からみんな踊りまくってた。

HAWAIIAN6
未聴、未見。木陰で休憩しながら拝見。全く予備知識もなし。極めて普通の人たち。

奥田民生
既見。何も言うことはない。飄々としながら図太い音楽。みんなも一緒に歌ってしまう懐の深さ。ほとんどの曲を観客も一緒になって大合唱。むしろ大声で歌いすぎて咽喉が疲れた。


未聴、未見。どうしても見たかったので急いで駆けつけた。「つるはじまってますよー」でスイッチが入った。アフロでお茶らけた雰囲気だが、演奏も歌もうまくて、なによりも楽しませることを前提に作られた曲の数々。のらなきゃ損損。

YO-KING
既見。真心の前座のような扱い。短すぎて物足りなかった。それでもYO-KINGの声は生で聴くとそれだけで奇跡。どの曲もシンプルにどかんとど真ん中に何も考えずに突っ込んでくる。

真心ブラザーズ
既見。陽も落ちてきて最後の余韻を味わうゆったりかと思いきや、最初から最後までハイテンション。いい感じにお酒の入ったような、気持ちの良いアホになったような、いろんなものを全て忘れる時間。貫禄とおちゃらけといろいろなものが調和する存在、真心ブラザース。最後に選んで本当に良かった。

■公演内容
ROCK IN JAPAN FES.2008(ロッキンジャパン2008)3日目
http://www.ro69.jp/fesinfo/rijfes08/quick/0803/index.html
出演/APOGEE ELLEGARDEN 奥田民生 おとぎ話 鬼束ちひろ 音速ライン 9mmParabellumBullet GRAPEVINE KREVA GOING UNDER GROUND THE JETZEJOHNSON シュノーケル 竹内電気 鶴 10-FEET DragonAsh NICO Touches the Walls Northern19 THE NOVEMBERS HAWAIIAN6 髭 PeopleInTheBox BaseBallBear 真心ブラザーズ MO'SOME TONEBENDER YOUR SONG IS GOOD YO-KING RIZE LAST ALLIANCE THE RODEO CARBURETTOR capsule 小堀裕之 松田CHABE岳二 松田素生 片平実 保坂壮彦 前田博章
会場/茨城県国営ひたち海浜公園
日時/2008年8月3日(日)7:00開場
料金/3日通し券 27,000円
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2008年08月02日

ROCK IN JAPAN FES.2008 2日目

2日目。本日も最初から最後までスムーズ。スタッフもお客さんも驚くほど優等生。不満は喫煙所以外でタバコを吸う人の多さだけで、消化不良を感じてしまうほどの優等生。FORESTでの夕食はまったり気持ち良い。

Perfume
既聴。初見。すごい。圧巻です。ものすごく鍛え上げられています。ものすごく激しいのに最初から最後まで一切乱れることなく、さらに三人が恐ろしいほど調和しています。一気にファンになりました。これは流行ではない、実力だ!と思わせるほどのLAKEに入りきれない人人人。

ハヤシヒロユキ(DJ)
既見。相変わらず思いっきり歌ってた。カラオケステージになっていた。その愛嬌が見たくて覗いてしまった。

チャットモンチー
既見。チャットモンチー知りうる限りベストアクト。暑すぎないのが良かったのか、えっちゃんの声がノビノビ。最初から最後まで全体が衰えることもなく、気持ちの良い演奏。GRASSの端から端まで届くパワーだった。

PUFFY
既見。ヒット曲満載のPOPでポップでPOPなステージ。可愛さ満載でLAKEの風通しや爽やかさと相まって、終始笑顔に包まれる平和な空間。パフィーの曲はどれもいい!と結局思って終わってしまった。

斉藤和義
既見。ラフな格好で何の演出もなく素のまま登場して、気楽に演奏して、そのまま帰ってしまった。自然に生きるとはこういうことなのだろうか。日が傾き始める時間、一足早めの夕方を感じる、何かが溶け合う演奏が、身体に何の抵抗もなく入り込んでくる。

筋肉少女帯
既聴。初見。MC一人勝ちが、いつの間にかLAKE全体を一つにした。確かな演奏と楽しければそれでいいという時間。相反するようでそれがひとつになるから見る側もいつの間にかその世界に入り込んでいた。


■公演内容
ROCK IN JAPAN FES.2008(ロッキンジャパン2008)2日目
http://www.ro69.jp/fesinfo/rijfes08/quick/0802/index.html
出演/ACIDMAN asphalt frustration ART-SCHOOL UNCHAIN 榎本くるみ エレファントカシマシ 8otto キャプテンストライダム 筋肉少女帯 斉藤和義 SEAMO 頭脳警察 SOIL&"PIMP"SESSIONS dustbox tabaccojuice チャットモンチー 椿屋四十奏 the telephones TOTALTAF PUFFY Perfume the HANGOVERS BIGMAMA フジファブリック BRAHMAN bonobos マキシマムザホルモン MARS EURYTHEMICS monobright RIP SLYME 小宮山雄飛 ハヤシヒロユキ やついいちろう YMCK 片平実 保坂壮彦 前田博章
会場/茨城県国営ひたち海浜公園
日時/2008年8月2日(土)7:00開場
料金/3日通し券 27,000円
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2008年08月01日

ROCK IN JAPAN FES.2008 1日目

水戸からほとんど待たされることもなくバスで移動。今流行ってしまっている不穏な書き込みのせいで開場時間早まるは、手荷物検査はあるはで混乱するかと思いきや、素晴らしいスタッフワークでストレスゼロで入場。

初日は気持ちのいい陽射し。とにかくオープニングトークが聞きたくてかなり早くからGRASS STAGEで待ち続け。この高揚はフェスならでは。どこのフェスでもこのわくわくがたまらない。水分補給も移動もうまくいって、目当てのバーガーも食べられて、順調すぎるほど順調すぎた初日。

サンボマスター
既見。しょっぱなで煽る気満々。徐々に徐々に人だかりが増えていくのを背中で感じながら、ほどよく汗をかきながら、失礼ながらウォーミングアップ。最後の山口さんのアカペラが妙に心を打った。

木村カエラ
既見。ワンマンのときと髪型も衣装もすごく変わっていて驚き。パワフルさは相変わらず。端から端まで走り回って。それにやっぱりあれだけの人がいっせいにタオルを振り回すのは気持ちが良い。映像で見たらどんなんだろう。

ザ50回転ズ
既見。どうしても見たかった。昨年衝撃を受けてすごく楽しみにしていた。全く変わってないけど、登場から最後まで自分たちの演じる世界観が確立していて清清しい。ロックなのに、汚い感じの人たちなのに、清清しい。

YUI
既聴。初見。驚くほどの人だかり。小さなFORESTでは不満と言わんばかりの人の集まりに会場のテンションは一気に上る。残念なのは驚くほどの音響セットの悪さ。歌声もなにも、ハウリングと出力の不安定に台無し。

スピッツ
既聴。初見。大観衆押し寄せる中、自分たちのペースでゆるやかにさわやかに。どこに行ってもスピッツはスピッツですと言わんばかり。夕方に向かう中、綺麗な演奏と突き抜けるようなまっすぐな草野さんの声。この時間だけ別の世界にいるようでした。スピッツ風が確かにそこには吹いていました。

BUMP OF CHICKEN
既見。大観衆と名曲ラインナップ。歌は相変わらずうまくなっていなかった。演出は凝られていて、陽が陰る中、照明が印象に残る。それにしても人気がすごい。

ホフディラン
既見。移動中に懐かしくて、ふらりと立ち寄って数曲。何も変わらないおもちゃのような可愛らしいおっさん二人がそこにいた。誰がなんと言おうが可愛いよ。

POLYSICS
既見。自分の原点を思い出す。ライブハウスで汗だくになるのを覚えた大学生のとき、時を同じくして同世代の彼らが現れた。やっぱり同じ時間を生きるというのはこういうことなんだな、この汗が幸せだと、時を感じなから時を忘れた至福の時間。どんどん人が押し寄せてきたのも印象的。近年POLYベストパフォーマンス。

■公演内容
ROCK IN JAPAN FES.2008(ロッキンジャパン2008)1日目
http://www.ro69.jp/fesinfo/rijfes08/quick/0801/index.html
出演/175R AIR HY cutman-booche 木村カエラ GOOD4NOTHING GLORY HILL GO!GO!7188 ザ50回転ズ サンボマスター the chef cooks me ジン ストレイテナー スネオヘアー スパルタローカルズ スピッツ 曽我部恵一BAND TRICERATOPS the band apart BUMP OF CHICKEN B-DASH FoZZtone ホフディラン POLYSICS MASS OF THE FERMENTING DREGS YUI UNISON SQUARE GARDEN LUNKHEAD LITTLE RYUKYUDISKO 岡田義徳a.k..a.DJ4th ダイノジ RAM RIDER 片平実 保坂壮彦 前田博章
会場/茨城県国営ひたち海浜公園
日時/2008年8月1日(金)7:00開場
料金/3日通し券 27,000円
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2008年07月17日

共犯企画「大炎上」

前回観た悪い芝居「なんじ」があまりに衝撃で、アフタートークでこの企画の話も出ていたので思わず行ってしまいました。演出の裁量が大きかったのか、感想はほとんど変わらず、これが「悪い芝居」なのかなと納得。役者の演技は下手でも、心地よい演劇的目眩が存在します。とはいえ、脚本は「尼崎ロマンポルノ」の方だったので、話は破綻なく、ストーリーはとても追いやすかったです。

ストーリーは、家族の中で軽視された母親が冗談で書き始めたブログが、現状の家族に不信感を持つたくさんの子供に盛り上げられ、冗談が本気へとつながって、引けないままに新しい家族像を作り上げるため戦争を始めるというもの。最後には祀り上げられた母親が元に戻りたいと血族のところへ帰ろうとする、家族を問うもの。

現代の犯罪の心理を作家なりに抉ろうとしたのでしょう。今の世の中で起こる犯罪はあまりに突発的でまるで冗談のよう。とすれば、そもそも発端は冗談だったのに、いつの間にやら冗談で済まなくなったものが表面化して犯罪になってしまっているのではないか。冗談のままでいいのに、何かに駆り立てられ、止めてもらえず・・・。

もうひとつは家族像です。家族像はどんどん変化しています。大家族から核家族、さらには離婚常態・子供虐待・一人暮らし、ほとんどが個体として暮らしていて家族像は揺らいでいます。だから理想の家族を掲げようという動きがどこかにある。でも、結局は血なのかな。選べないからこそ強い絆がそこにあり、家族に理想像や理由なんて要らないのではないだろうか。

冗談は冗談。何でも選べるこのご時世で、選べないものの強さ。選べない、捨てられないからこそつながるしかない。そのためにはいろいろなものを受け入れるしかない。それが成長であり、絆になる。

これは「今」のお話。尼崎ロマンポルノの作家性にも、悪い芝居の作家性にも、それをものすごく感じます。だからこそ、今観たい。

■公演概要
共犯企画「大炎上」
尼崎ロマンポルノ・男肉duSoleil・悪い芝居
脚本・出演/橋本匡(尼崎ロマンポルノ)
演出・出演/山崎彬(悪い芝居)
出演/四宮章吾 村里春奈 池浦さだ夢 松田卓三 吉川莉早 吉田みるく
    森田真和 植田順平 堀江勇気 梅田真千子 藤代敬弘 陰核
    田米克弘 平井佐智子 鈴木トオル 大川原瑞穂
会場/芸術創造館
日時/2008年7月17日(木)19:00開演
料金/2,500円
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2008年07月15日

「七月大歌舞伎」夜の部

いつもお世話になっている司法書士の先生にご招待いただき、急きょ歌舞伎を観に行ってきました。思えば松竹座はものすごく久し振りでした。平日の公演にも関わらず、劇場はご年配の方々で2階席後方まで満席でした。しかし、肝腎の公演はどちらもいまいちでした。

『熊谷陣屋』
仁左衛門さんに期待していましたが、安定感だけが目に付きました。古典過ぎて全体的にゆったり。睡魔と闘っているお客さんもかなりおられました。見せ場は、息子の亡骸である首を受け取る相模。それまでの単調が嘘のようにその一瞬だけ空気が張り詰めました。そこからしばらくは眼が覚め涙するお客さんがちらほら。その一瞬、その一瞬のために今日はあったようなものです。

『黒手組曲輪達引』
菊之助さん松緑さんの熟し始めた魅力と人気に対して、菊五郎さんの衰えが目立ちました。冒頭の遊びはいかにも菊五郎一座で、旬のお笑い芸人パロディを加えたりの笑いはあったのですが、勢いはそこまで。本編に入ってからは淡々と一本調子。挙句のクライマックス大立ち回りでは拍手喝采の大盛り上がりでしたが、それは菊五郎さんにではなく、一座の立ち回り陣に向けられたものであることを認識するべきでしょう。それにしてもやられ役のアクションのレベルはきわめて高かった。主役を食ってました。

■公演概要
七月大歌舞伎 夜の部『熊谷陣屋』『黒手組曲輪達引』
出演/
一、一谷嫩軍記熊谷陣屋(くまがいじんや)
            熊谷直実  仁左衛門
   白毫弥陀六実は弥平兵衛宗清  我 當
             藤の方  孝太郎
             堤軍次  愛之助
              相模  秀太郎
             源義経  藤十郎
二、黒手組曲輪達引(くろてぐみくるわのたてひき)浄瑠璃「忍岡恋曲者」
     花川戸助六/番頭権九郎  菊五郎
           三浦屋揚巻  魁 春
            牛若伝次  松 緑
            新造白玉  菊之助
            朝顔仙平  亀三郎
         三浦屋女房お仲  家 橘
           俳諧師東栄  團 蔵
          鳥居新左衛門  左團次
        紀伊国屋文左衛門  田之助
会場/大阪松竹座
日時/2008年7月15日(火)16:30開演
料金/招待券
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