2008年02月29日

「It is written there」

素晴らしい出会いに興奮。久々に大きな発見をした気分です。

簡単にまず構成を説明します。入場時に100ページある大きな冊子が全員に渡され、それを舞台上からの指示に従って1枚ずつめくりながら舞台上を見るというものです。冊子には文字が散りばめられていて、それに連動するように舞台上では主に身体表現が繰り広げられます。ダンスであったり、形態模写であったり、時に照明であり、音であり・・・。舞台上にものはなく、ただそれだけの構成です。

ただそれだけです。それなのにとてつもない新鮮な驚嘆に遭遇できます。

冊子をめくるというその単純な行為には大きな意味があります。ひとつは観客全員が一緒の行動を同時にするということです。その瞬間の観客の一体感と一緒に舞台を作っている参加意識という大きな大きな共有意識を生み出すのです。もうひとつは、冊子をめくる間です。次のページは確かにあるのですが、見ることができません。次に何が出てくるのかという期待と不安と、そして次を見るまでのなんとも言えない間が生み出すドキドキ感を生み出すのです。

さらにその冊子には文字しかありません。その言葉から観客はそれぞれ様々なものを想像します。実際に舞台ではその言葉から生み出されたものが表現されています。冊子を介して観客と舞台上の表現者が時に一体化し、時に騙しあい、勝負をするようなものです。あるときは観客が文字に触れるのが先で文字から次に表現者がどう動くか想像し、あるときは表現者が先に動くのが先でその動きから次に書かれている文字を想像する、予測不能のドキドキ感です。

100ページのコミュニケーションがそこに存在します。思わず手に汗握って見入ってしまいます。どこから何がやってくるのかドキドキし、神経が研ぎ澄まされます。

ストーリーはあるのかないのか、全体を通せば極めて感覚的なものでそこに理を求めてしまうのは観る側のわがままなのかもしれません。そこには確かに作り手の体験が存在し、時代と空気が存在しています。しかし、それ以上に今この瞬間に起こるコミュニケーションを自分のストーリーにしてしまうそれ以上にわがままな喜びにもう少し浸っていたいと思います。

■公演概要
京都芸術センター演劇製作事業「演劇計画2007」
『It is written there』
構成・振付・演出/山下残
出演/荒木瑞穂、今貂子 西嶋明子 福留麻里 森下真樹
会場/京都芸術センター講堂
日時/2008年2月29日(金)19:30開演
料金/2,500円
posted by 奥田圭太 at 22:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 本・映画・舞台・ライブ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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