2007年11月11日

音楽劇「三文オペラ」

ブレヒトが資本主義の矛盾を痛烈に描いた名作を、資本主義なんて難しいことは取っ払って、私たちの目の前に起こる事実として提示しようとした意欲作。何度となく「あなたのことなのよ!」と言われているような気がしました。これを政治家や最近の時事ネタにしてしまうのは簡単で、やっぱり私たち自身の中にあるのだと思います。

さて、舞台としての感想ですが、やはり翻訳劇の気障さが抜けていませんでした。歌の割合も多すぎたように思います。ピーチャム一家(ピーチャム、シーリア、ポリー)とルーシーの活力のある生々しさに比べて、他のものが浮き足立ってしまった印象です。大谷さんのブレヒトを代弁する存在感は群を抜いており、銀粉蝶さんのメリハリはそれを引き立てます。篠原さんの劇中での変化と歌は素晴らしく、猫背さんの掛け合いやユニークさは舞台を明るくしてくれました。

残念だったのはROLLYさんの取り扱い。舞台での存在感や歌唱力は秀逸、担当された歌詞も音に噛み付いていて面白い、にもかかわらず、本来キーマンであるはずのジェニーの扱いは軽く、ROLLYさんである意義は感じられず。国籍や性別をぼかして普遍性を強調するためのプランだったのでしょうが、結果的にはもっと日本日本していてもよかった気がしますし、ストレートで良かったと思います。

骨太の原作を面白く翻訳し、意欲的な意味づけもされています。ですが、役者の存在感や歌唱力にバラつきが大きく、個の演出が強すぎて全体の調和と活力が見出せなかったように思います。生演奏の迫力もあって部分部分は面白い、ですが、全体としてブレヒトを読み返す道を選んでしまいました。

■公演概要
音楽劇「三文オペラ」
作/ベルトルト・.ブレヒト  
演出/白井晃
出演/吉田栄作 篠原ともえ 大谷亮介 銀粉蝶 佐藤正宏 猫背椿 ROLLY
会場/兵庫県立芸術文化センター中ホール
日時/2007年11月11日(日)13:00開演
料金/8,000円


posted by 奥田圭太 at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 本・映画・舞台・ライブ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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