野田秀樹が満載に詰まった舞台。言葉から見ても身体表現から見ても演出から見ても、役者としても野田秀樹が満喫できます。
作品としては、前半は風刺劇。マスコミ・警察を徹底的に皮肉り、その向こうにいる無責任な私たちに突きつけます。言葉も多く、早口でただうるさく消費されていくだけです。後半は暴力の連鎖。外にあるものが全て敵に見え、恐怖心でいっぱいの主人公は暴力により小さな小さな世界の王様になることを選びます。それが自分の家族をも存在を薄め、暴力という狂気の中で、暴力の連鎖もいつの間にか孤独なルーチンとなっていきます。最後は無意味なリフレインです。むなしさだけ残ります。
演出としては、シンプルそのもの。しかし、それはモノがシンプルなだけで、演出している行為は想像力豊かな複雑そのもの。その演出家の想像力は観るものの想像力をどんどん楽しませてくれます。たった一枚の紙というシンプルな演出でとてつもない驚嘆の数々を与えてくれるのです。想像力だけで人間はひとつのものでこんなにもたくさんのものを味わうことができるのです。
役者としては、遊民社時代を生で観ていない私は野田さんが主役をストレートに演じるのを初めて観ました。かねてからこの方の演技力は圧倒的でしたが、今回はストレートであるが故に余計にそれが光りました。丁寧に丁寧に狂気がドライにリアルに変わっていきます。役者野田秀樹、やはり面白い。
ラスト、ルーチンの果てに主人公は自らに手をかけます。そこに大量の蜂が訪れる視覚効果と音響は、主人公演じる野田さんを宙に浮かべるようにもテレビの砂嵐の中に消えていくようにも見せます。そして、そこには丸められた紙くずだけが残ります。
後味はざらりとしてる。ですが、そのドライなザラザラ感も、野田秀樹と同時代に生きている幸福感に変わります。
■公演内容
NODA MAP番外公演「THE BEE(日本版)」
原作/筒井康隆
脚本/野田秀樹&コリン・ティーバン
演出・出演/野田秀樹
出演/秋山菜津子 近藤良平 浅野和之
会場/シアタートラム
日時/2007年7月6日(金) 16:00開演
料金/6,500円
2007年07月06日
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