2008年01月14日

「エンジェル」

普通。普通すぎて逆に考え込んでしまうくらい普通の作品。異色・鬼才と世間的に評価を得ているフランソワ・オゾン監督作品を観ようと意気込むと、一般的なストーリーを映像美ではなく極めて普通に(これさえもこれでもかというくらい意図を感じるハリウッド風)描いた作品に肩透かしを食います。

女性一代記。芸術家一代記。現実から逃れるために類まれな想像力で夢を描き続け、見事作家として成功してその夢の世界を生きることを勝ち得た若き女性が、戦争という因果で初めて現実と直面することを余儀なくされ、ついには夫の死で現実に引きずり出されて転落していく。夢の世界でどんどん歩みを進めていた分だけ、置き去りにした現実にしっかり裏切られて、とことんまで打ちのめされます。栄華と没落を生きているうちにとことん味わった芸術家像でもあります。

19世紀末のイギリスを描いた。運命に翻弄される女性を描いた。ある種の答えである芸術家像を描いた。様々な解釈が可能であり、どれも正解のように思います。ですが、それらもすべてあまりにオーソドックスで、新鮮さを求めて観に行った私は完全な肩透かしでした。

■作品概要
題名/「エンジェル(原題:ANGEL)」
2007年/ベルギー=イギリス=フランス/ショウゲート
監督/フランソワ・オゾン
出演/ロモーラ・ガライ サム・ニール シャーロット・ランプリング
    ルーシー・ラッセル マイケル・ファスヴェンダー
会場/京都シネマ
1900年代初頭の英国。16歳のエンジェルは田舎町で小さな食料品店を営む母親と2人暮らしのつましい暮らしから目を背け、大時代なロマンス小説の執筆に情熱を傾けていた。やがて自らの出自さえ書き換えてしまうほどの類い稀な想像力と文才で一気に人気作家への道を駆け上がる。幼い頃から憧れていた豪邸パラダイスを買い取り、ノラという有能な秘書も得たエンジェルは、ノラの弟で孤高の画家エスメと恋に落ちる。
posted by 奥田圭太 at 23:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 本・映画・舞台・ライブ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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