2008年01月13日

「ジェシー・ジェームズの暗殺」

一度ではわからないが味わい深い作品。実話の知識や時代背景を知らない私には理屈ではそこまで理解できませんでした。ですが、それでも何か納得してしまうような圧倒的な感覚的説得力がそこにあったのです。

映画は160分と長いのですが、それでも実話が背景であり一般教養であるとされているのかかなり説明部分が省略されています。おそらく長くなったのは主要登場人物二人以外にも光を当てようとしたことが裏目に出ているように思います。そんなやや苦しい160分なのですが、登場人物二人の狂気だけで、その演技だけで、その感覚だけで最後まで観られてしまいます。

この映画はジェシーとボブ(ロバート)の二人に全て集約されます。ジェシーは、祀り上げられた強靭な英雄と逃亡生活で心身をすり減らした猜疑心の塊である狂人の狭間で揺れ動きます。ボブは、英雄への長年の執着と夢にまで見た英雄との共同生活で生まれた愛情と理想像と現実増のギャップから生まれる憎悪と・・・純粋で単純で臆病な若者の中で様々なものが暴れ続けます。二人は重なっては対極に行き、対極に行っては重なるという理不尽を繰り返します。理屈だけで考えればどちらも崩壊していて人物像が揺れ動きすぎ、矛盾にしか思えなくなります。ですが、その矛盾を許してしまう説得力、人間の本質が二人の動き、表情にはあります。

ジェシーは死を願っていたのか、ボブは英雄になれると本当に思っていたのか、それはただのあの一瞬のように思えます。その一瞬があったから起こった。両者の狂気の部分がその瞬間だけひとつになった。そこにボブがジェシーを殺すという事実だけが転がった。そしてそれまでのジェシーが犯した強盗や殺人の事実とこの事実も・・・、全ての事実は大衆の勝手な解釈によって二人が求めていたものとは全く違うものになっていく、そのやるせなさが生んだ二人の翻弄された物語だったのかもしれません。

今でも理屈ではよくわかりません。スカッとすることができません。ですが、妙な説得力を持って私は感覚的に納得してしまっているのです。

■作品概要
題名/「ジェシー・ジェームズの暗殺(原題:THE ASSASSINATION OF JESSE JAMES BY THE COWARD ROBERT FORD)」
2007年/アメリカ/ワーナー・ブラザーズ
監督/アンドリュー・ドミニク
出演/ブラッド・ピット ケイシー・アフレック サム・シェパード
    メアリー=ルイーズ・パーカー ポール・シュナイダー ジェレミー・レナー
会場/MOVIX京都
南北戦争にゲリラとして参加し、その後は犯罪集団となったジェシーとその兄フランクが率いるジェームズ一味。彼らが新たに企てた列車強盗計画に、ひとりの若者ロバートが加わった。彼は新聞や本でジェシー一味の活躍を知り、ジェシーに心酔していたのだ。列車強盗を行なった後、一味は分散して身を潜めることに。ロバートはジェシーに側に残るように言われ有頂天になるが……。
posted by 奥田圭太 at 22:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 本・映画・舞台・ライブ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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