2007年06月17日

猿之助十八番の内「獨道中五十三驛」

スーパー歌舞伎をイメージして亜流だと思い込んでいたが、とても丁寧に古典に挑んだ快作。(以下は囲む会で直接お聞きした裏話も含めて翌日になって記述。)

魅せどころは市川右近さんの宙吊りと大詰めの12役早替り。舞台に立っている人よりも多い、たった一人の早替りに賭ける裏方10数名。その息づかいははっきりと前方列には伝わってきました。それにしても裏方がそこまで多いとは驚きました。表の平然とした美しさには裏の慌しい勝負が隠れていたのです。早替りもそうですが、猿之助さんの演出はテンポに集約されています。場面転換のあの小気味いいテンポを生み出すカラクリの多さが誰でも楽しめる舞台を生み出しているのでしょう。そこにはしっかりとした古典の伝承があったと思います。

もう一つの特徴はいい面と悪い面が出たDNAの欠落。猿之助一門は血縁・世襲が非常に色薄い。私はDNAは大切だと思っています。何故なら歌舞伎ならではの肉付きはDNAそのものだと見せつけられてきたからです。そういう意味では肉付きに物足りなさがあります。迫力というか体から溢れる音というか。ただし、その一方で新たな枠組みのファミリーが生み出すアットホーム感が全体に流れて温かさを感じます。

個人的には猿弥さんのいいもの役(逸平)の表情がドツボでした。何故か笑ってしまう、何故か切なくなってしまう・・・悪役との対象のおかげかもしれませんが、忘れられない役でした。

固定概念はやっぱりいけない。何事も実際に見てから、誰かの感じではなく、自分の感じを作ろう。

■公演内容
猿之助十八番の内「獨道中五十三驛(ひとりたびごじゅうさんつぎ)」
作/鶴屋南北
演出/市川猿之助
出演/市川右近 市川段治郎 市川笑也 市川笑三郎 市川春猿
    市川弘太郎 市川寿猿 市川猿弥 市川門之助
会場/中日劇場
日時/2007年6月17日(日) 16:00開演
料金/12,000円
posted by 奥田圭太 at 23:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 本・映画・舞台・ライブ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。