「映画監督になってみたい人」や「予算があったらこんなことをしてみたい」という人にしかわからないであろう作品です。ストーリーを追うことにほとんど意味はありません。ただ「撮ってみたかった」です。「映画にしてみたかった」というただただそれだけです。
私は大学生のときに自分で初めて映画を撮りました。デジタルカメラを使った自主制作です。だからこそ気持ちだけがやたらと分かり、苦笑とも爆笑とも取れないような、懐かしさを感じるような笑いをこらえるのに必死でした。多くの人は睡魔と戦い、あるいは負けるに違いありませんが。
空撮とかしてみたいよな、CG使ってみたいよな、爆発シーンは入れたいよな、夕陽に向かって歩きたいよな、広いところに人一人とかカッコいいよな、友情は描くだろ、走行シーンはマスト、こういう角度で撮りたいな、こういう機材使いたいな、BGMはかっこよく、おしゃれにしなくちゃ・・・なんてものが詰まっているだけです。しかも性質が悪いからいっぺんに全部詰めこもうとします。そして「映画だから尺は60〜90分いるよな」です。だからやたらとグダグダと長くなりますし、意味のないシーン満載です。「映画にしたい」という自己満足です。
私もあのとき、映画を撮りたかった、だからいろんな撮り方をしてみたかったし、60分以上の尺に憧れた・・・前者はお金の限界でできる範囲は限られ、後者は自分で観るのもつらかったのでカットしまくって止めましたが・・・。
エンドロールの延々流れるスタッフたちの名前。これだけの予算とこれだけの人を使える。そんなお金が許された素人が初めて映画を撮ったことが全編に溢れるものでした。
■作品概要
題名/「ダフトパンク エレクトロマ」
2006年/イギリス/エイベックス・エンタテインメント ロングライド
監督/トーマ・バンガルテル ギ=マニュエル(ダフト・パンク)
出演/ピーター・ハートゥ マイケル・ライヒ
会場/京都みなみ会館
人間になりたいと願う2体のロボット。眩しく光るヘルメットを被り平穏な日常を送る住人たちは、同じ風貌の彼らのことを特に気にする様子もない。だが彼らはそんな幸福な風景に背を向け願いを叶えるべく最先端の機器と科学者に身を委ねる……。