2007年03月24日

「今宵、フィッツジェラルド劇場で」

誰が主役でもない、点と点で切り取ってその中に溢れかえる人々の悲喜こもごもを、丁寧すぎるくらい正直に焼き付けた作品。

登場人物が多く、また台詞が多く、人間関係を把握するまで少しイライラしますが、全ての登場人物にカメラは優しく均等にスポットライトを当てます。そのカメラワーク・カット割がイライラを落ち着かせ、いつの間にか音と一体になっていく良質なドラマを演出します。

話としては、意味深なキャラクターが出てくるものの何もなかったり、奇想天外なことが起こるわけでもなく、ちょっとした出来事・小さな小さな喜怒哀楽の乱立だけです。ただそれだけです。ここを物足りなく思う人も多いかもしれません。

前編を通してカントリー音楽満載。あの時代、あの音楽、あの雰囲気を知る人であればまた別の楽しみ方があるのかもしれません。

普通に観てしまえば、これといって感想がない映画、というのが正直な感想です。

ただ、ラジオ番組「プレイリー・ホーム・コンパニオン」が現在も続いていることや、司会者が本物の番組で30年以上にわたり司会を務める原作者であったりと背景を知るとなんとなく温かみを感じます。

そして、ロバート・アルトマン監督、彼の遺作となったこと、彼が自分の死を知っていたことを考えると、全ての台詞・映画の雰囲気が意味深く浮かび上がってきます。それを味わうとポンと出て、じわ〜と染み渡っていく飲み物のようです。

■作品概要
題名/「今宵、フィッツジェラルド劇場で(原題:A Prairie Home Companion)」
2006/アメリカ/ムービーアイ エンタテインメント
監督/ ロバート・アルトマン
出演/ウディ・ハレルソン トミー・リー・ジョーンズ ケヴィン・クライン
リンジー・ローハン ヴァージニア・マドセン メリル・ストリープ ギャリソン・キーラー
会場/京都シネマ
ミネソタ州セントポールのフィッツジェラルド劇場で、長年親しまれてきたラジオショウ「プレイリー・ホーム・コンパニオン」の、最後の公開生放送が始まろうとしていた。私立探偵を気取った用心棒ノワール、名司会者キーラー、カントリーシンガーのヨランダとロンダのジョンソン姉妹、カウボーイソングデュオのダスティとレフティらが、次々と楽屋入りする。やがてショウが始まり、白いトレンチコートの美女が現れる……。


posted by 奥田圭太 at 21:06| Comment(0) | TrackBack(3) | 本・映画・舞台・ライブ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。