2006年12月07日

優先順位のからくり

優先順位という言葉があります。この言葉はビジネス界でよく使われ、またとても重要なもののように思われています。優先順位を的確に、あるいは素早くつけられることがいわゆる「仕事ができる人」の必須条件のように言われることが多いようです。「優先順位をきちんとつけて取り組め」と言われたことがある人も多いのではないでしょうか。

ですが、私はある意味においてこの言葉がとても嫌いです。

優先順位という言葉には大きなからくりが存在するのです。
(1)とても簡単な言葉で指導者にとって相手(指導される人)に納得させやすい
(2)優先順位といっても地位・役割・切り口によって大きく変わるがそのことを理解している人はとても少ない。
ということです。つまり、極めて「安易に」「不明瞭に」「混乱を招くように」使われている言葉なのです。

優先順位をつけることはとても有用です。しかし、それはその中身を理解して初めて有用となりますが、区別なく(安易に)優先順位をつけるとかえって手が止まってしまうことのほうが多いのです。

それは事業戦略としての優先順位なのか、物事の重要性としての優先順位なのか、物事の難易度としての優先順位なのか、指示者側の優先順位なのか、作業者自身の力量による優先順になのか、時系列としての優先順位なのか・・・と優先順位はとても複雑です。そこの区別ないままに優先順位をつけることは複雑なことをこね回すだけであり混乱以外の何でもないのです。

重要な提案資料を作っているとしましょう。それは物事の重要性や難易度は高いでしょう。早くしっかりと取り組むことです。しかし、ある人に今日中にお礼メールを一本いれないといけないとしましょう。それは簡単なことですし、いつでもできるようで優先順位は自ずと下がります。ですが、簡単なことであれば先にしてしまえばいいのです。これが時系列としての優先順位です。それをしなければメールが気になって資料作成が中途半端になるか、メールを忘れてしまうかです。ですが、優先順位という言葉を「優先」するとき、多くの場合、お礼メールは後回しにされます。そしてやらなければいけないことが蓄積していく、あるいは見落とされていくのです。

優先順位という言葉は、本当に整理できている人だけがわかるように使うべき言葉なのです。多くの場合、それは相手の混乱を生みます。優先順位という大きな枠組みだけを与えられたとき(あるいは自身に与えたとき)、ちょっとやったら済むではないかという目の前にある実はとても簡単であるやらなければいけないことを見落とす、あるいは後回しにしてしまうことのほうが多いように思われます。やったら済むものをやってしまわないと物事は始まらないのです。

言葉は簡単です。ですが、言葉を簡単に使うことはとても危険です。
posted by 奥田圭太 at 19:36| Comment(0) | TrackBack(0) | コラム:言葉津々 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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