2006年09月16日

安富洋貴展「夜深景-ヨフカシノカゲ-」

ぴあ情報。展覧会はしごの日第2弾。

ぴあに陰影の強いモノクロ写真が載っていました。私にはそれはモノクロ写真に見えました。その光の強さに惹かれて興味をもつと・・・それは絵画でした。しかも、鉛筆だけで表現された絵画だったのです。

ギャラリーに入ってまず、そのキャンパスの大きさに驚きました。194×158cmもあるところにただ鉛筆の線だけで風景心象画を書いてあるのです。少し距離を置いてみると陰影のはっきりしたモノクロ写真のようです。近くから見ると恐ろしいまでに細かい線の集積・一本一本にこめられた念のようなものを感じます。とんでもないエネルギーの結晶です。部屋に一人、鉛筆の音だけが聞こえてくるようです。切なさと静けさ・・・美しさの中にとてつもない力を見たようでした。

作家である安富洋貴氏と話ができました。私と同じ1978年生まれ。話の中で印象に残ったものを残しておきたいと思います。

題材が夜なのは「夜は日中の肩書きからも緊張からもしがらみからも解放されて素に近くなれるとき。その素を受け入れてくれる夜の包容力・大きさのようなものに惹かれる。」から。描かれている風景は「夜歩くのが好き。いつも同じような景色だけど、ふとはっとする瞬間がある。あるときそれが自分のように見えた。それには二度と出会えないかもしれない。だから残したかった。」ものです。
表現方法は「絶対にこすって面を埋めることはしない。全て一本一本の線を重ねていっている。だから自分の絵は最初から最後までの全ての層が見える」そうで、実際に立体的に何度も何度も折り重ねていった糸のように、そしてそこに念のような強い力が筆跡としてはっきりと観ることができます。
何故他人に見せるのかについては「夜の大きさ、夜に包まれる安心感のようなものを他の人にも感じてもらえたら幸せ。」だから。
ちょっと表現が違っていたら申し訳ないです。ゆっくりお話できて私は満足でした。

一本一本の鉛筆の線にこめられた思い。それは1ヶ月超に及ぶ製作期間で1枚の絵を完成させるために毎日毎日積み重ねられていく。安富さんが辿り着いた表現方法はとても単純だけにとても根気、強い思いを持ち続けることが必要なもの。だからこそ、安富さんの絵には静かな風景の中に重過ぎるほどの思いを感じました。

■個展概要
安富洋貴展「夜深景-ヨウカシノカゲ-」
会場/IMURA ART GALLERY(イムラアートギャラリー)
日時/2006年9月2日(土)〜2006年9月23日(土)
料金/無料
posted by 奥田圭太 at 23:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 本・映画・舞台・ライブ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

イサム・ノグチ展

前知識なし。展覧会はしごの日。

彫刻というイメージよりも制作オブジェといった感じです。ど素人の私は彫刻というと木を彫って描いたものをイメージしてしまいますがそれは版画で、彫刻家といえば、様々な石や陶や鉄などの素材から立体芸術を作り上げる人のことを言うのでしょう。

このイサム・ノグチという人は第二次世界大戦という時代も体験されている日米のダブルだそうです。その曖昧なアイデンティティーが故に自分探しの世界旅をしたと解説にありました。その辿り着いた先がこの方の表現である抽象立体像にあるのでしょう。

普遍性に辿り着くために無駄を全て取り除いた彫像のように思えました。言うなれば能の世界と申しましょうか。ピカソよりもわかりやすいシンプルな抽象性です。徹底した無駄の排除の末に幾何学に辿り着き、それを驚くべき微妙なバランスで彫像を自立させています。とても美しいものです。
ピカソは写実画を描かせても天才だったと聞いたことがあります。この彫刻家さんも写実性の高い彫像も素晴らしく写実的に作れるに違いありません。その素晴らしい写実性が、抽象作品になっても美しいバランスとして活きていると感じました。

また、その無駄の排除の中で私がこの彫刻家さんの特徴だと感じたのは、そこまで排除をしていくにもかかわらず、その幾何学は丸みを帯びていることです。そこに温かみと優しさを感じました。

無限につながるイメージを断片的に切り取り、その前後をイメージ豊かに想像させ、世界を無限につなげていく。その魅力を存分に味わえました。

絵画と違うところでは、彫像は立体であるが故に様々な方向から楽しめることでありますが、私はこの展覧会では影を観て歩くのも面白かったです。

■彫刻展概要
「イサム・ノグチ 世界とつながる彫刻展」
〜顔/神話・民族/コミュニティーのために/太陽〜
主催/「イサム・ノグチ 世界とつながる彫刻展」実行委員会
   滋賀県立近代美術館・滋賀県 京都新聞社
会場/滋賀県立近代美術館
日時/2006年7月8日(土)〜2006年9月18日(月・祝日)
料金/一般 1,000円(常設展含む)
posted by 奥田圭太 at 20:14| Comment(2) | TrackBack(0) | 本・映画・舞台・ライブ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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